切れそう

切れそう……。絵本ということでわかりにくい原文を削除する、というのは、納得できないが、理解はできる。しかし、出版社側の編集者、原文の言葉遊びを必死で日本語に直したのが(英文対訳ということもあり)、わかりにくいから(英文ともに)取りましょう、とは。

それにこの絵本、ビートルズのパロディがそこかしこに出てくる。もちろんそこはパロディとして訳す。そこにも「わかりにくいから」と直訳を求める。もちろん、妥協できない一線は主張するが。読者から「パロディに気がつかない間抜けな翻訳/訳者」なんて評価はもらいたくない。

切れそうになるのはそれだけでなく、画面にある見立ての要素に気づく想像力がないこと。あるいは、訳の中で仄めかすパロディにも。

登場人物に狐がいる。原文は

Professor Fox

(Foxie to his friends)

knows a lot.

Foxieに「ずる賢い」の意味があるのはご存じの通り。しかし、Foxのあだ名だからFoxieというのが表の意味。悩んだ挙句

キツネ教授(友だちからはコンと呼ばれている)

物知り。

と訳した上で編集へのメモとして

「foxieの洒落。「キツィネ」あるいは案にある「コンきつね」。何か他に案があれば。」

と書いた。コンきつね、に何を響かせているかは解ると思って。

出版社側の編集者のコメント

「どういうことでしょう、子ぎつね?名前はこれでよいかと思います。「ともだち」ヒラキたいです。」

自分でも上手い訳とは思ってない。しかし、編集者でこの理解はどうなんだ、と。

他に

原文

Cookie Monster

訳文

クッキーモンスター

編集コメント

「かわいいですが、おとなとそろえて「クッキー派」がよいかと思います」

気づかなかった誤訳の指摘もあり、有り難い側面もあるが、フラストレーションの方が強い。

「結構です、勝手に直して下さい。ただし私の名前は出さないでください」と言いそうになってる。

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